「…」

「どうした?」

「…夏春さん…」

「隆宏?」

「知ってますよね…」

「うん。これからどうなるか知ってるよ。だけど私は絶対に言わない!」

「何で…」

「分かってる世界なんている意味ある?」

「だって!迷ってるんです!」

「空とどっちが好きか。悩め。とりあえず、今は悩め。
空を思うのか。隆宏とやり直すか、柔道に打ち込むか。
そっからやで!」

「夏春さん…」

「過去は辛かったやろうけど、それを乗り越えなな。」

「…」

「じゃ、私、下でテレビでも見てるねー」

「ちょっと。今、お父さんが見てますよー。」

「お!若い頃のお父さんみとこっと。」




「誰を…取る…か。」