花と恋




公園のベンチに座って、山にある桜をぼんやりみながら自分に言い聞かせる。


……帰ろう。母さんを無理させないようにしないと。


立ち上がり歩き出す。
まだ山桜を見ながら。なんとなく、心が落ち着く。


ドンッ
ドサッ

「いてっ」


「す、すみません!」


「あ、こちらこそすみません。ぼーっとしてたので…。」

同じ年ぐらいの女の子だな…。
ぼーっとしてて人とぶつかるなんてバカだな、俺。



「山桜……見てたんですか?」

「え…?」


「いや、今山見てたからそうかなと思って。
違いましたか。すみません。」

「当たり。」

「え?」


「山桜、見てたんだ。俺、父さん亡くなっててさ。で、弟も交通事故にあって…。考えてたら山桜見てた。」


あ、俺初対面の人に何話してんだよ…。


「あなたに微笑む…」

「え?」


女の子はニコッと笑い、

「山桜の花言葉。『あなたに微笑む』なんです。きっとお父さんは見守ってくれてますよ。大丈夫って微笑んでくれてますよ」