「遅れてごめんなさいっ」




こちらに気づいた男の子に、私は頭を下げて謝った。



そのとたん、男の子は「い、いやっ!」と両手を思いきり振ってうろたえる。




「き、きてくれてすげーうれしいから! こうやって佐伯(さえき)さんと話せるだけで夢みてる気分だし……!」


「え? ゆ、夢……?」




話せるだけで夢みたいだなんて……。


もしかして、友だちがあんまりいないのかな……。