「意味わかんねー。しかもうれしくない」 凪くんはぷいっとそっぽを向いて、長い脚ですたすたと先に歩いて行ってしまう。 さっきまで、歩くスピードを合わせてくれてたのに。 「わわっ。待ってよ、凪くん!」 差がひらくのはあっという間で、私はあわてて、駆け足で凪くんのとなりに並びなおした。 そのとき、強い風がふいて。 「かわいいのはお前だろ、ばか」 そう凪くんがつぶやいた小さな声は、私の耳には届かなかった。 : : * ・