素直に凪くんと距離をつめると、凪くんは腕をのばしてそっと私を抱きしめた。
だけど、前みたいに心臓がさわがしくなるような抱擁じゃなくて、
まるで安心させるような優しい抱き締め方だった。
私はなんだかほっとして、凪くんのブレザーをきゅっとつかむ。
「……やっぱりあのとき、栗原のこと何発か殴っとけばよかった」
「そ、それはだめだよっ……」
「なんでだよ。心愛を泣かせるとか、ゆるせねーし。
お前も栗原に近づいちゃだめだって言った意味、わかっただろ?」
凪くんにさとすように言われて、私は小さく「う、うん……」と返事する。
「あいつのこと、苦手になった?」
「ち……ちょっとだけ、苦手」
「そっか。……なら、よかったかも」

