わ、私、転びそうになったんだっけ?

衝撃が強すぎて、その前の記憶なんて飛んで行ってしまった。



じゃあ……本当は抱きしめたわけじゃなくて、ただ受け止めただけ?


でもそれなら、さっきの言葉たちは……?




「ほら、保健室いくんだろ。ついていってやるから」




私の手をつかんで歩き出す凪くん。


本当に、いつもどおりだ……。




「ついてきて……くれる、の?」




いまだにそそがれるまわりの視線にはずかしくなりながらも、私はおずおずとたずねかけた。


ぎゅっと、凪くんの手をにぎり返して。



そしたら凪くんも、もっとぎゅっとにぎってくれたのは、気のせいかな。