「…ただいま」




!!




玄関のドアが開く音と、田中の声に反応してお風呂場を飛び出す。




「た、田中…おかえり」



「…うん」



「だ、大丈夫だった?」



「あー…うん。今回ばかりは見逃してやるってさ、小林が」




そ、そっか…とりあえず、停学とかは免れたんだ。



「よかった…」



ホッと息を吐き出すあたしを、じっと見つめる田中。




って、よくないか。



楢崎くんと花凛ちゃんが今、あんな状態なのに。




「あ、あの、2人は?」



「あー…学校で別れたし。わかんねーけど」





頭をガシガシかいて、リビングに入った田中がソファに身体を投げ出すようにして座る。




「ったく…タツの奴、ふざけんなよ…」





苦しそうに、顔を歪める田中。






「アイツなら、花凛を幸せにしてやれるって、思ったから…アイツだったら…なのに、マジふざけんなよ…」






…楢崎くん、だったから。



田中は花凛ちゃんから身を引いた…のかな。





田中の苦しそうな顔を見てると、なんだかあたしまで、苦しくなる。




心臓が




ビリビリに破れて




息、できないよ。