田中のくせに!!






「…謝ったに決まってんだろ」




バツが悪そうに答えた楢崎くんに、花凛ちゃんが噛みつく。




「嘘!全然自分が悪いと思ってないクセに…!」




「思ってるよ、おまえが聞こうとしないだけだろ!」




「聞いてるよ…!
タツは全然、あたしがどれだけ傷ついたか分かってない」




「…つーか大袈裟なんだよ。たかがバイトの先輩とキスしただけだろ?」





…え?



思わず耳を疑った。





たかがキスって、楢崎くん、彼女じゃない人とキスしちゃったってこと?





「…おまえ」




田中が目を見開く。





「…一緒に出掛けてただけじゃなかったのかよ」



「…あれ、知らなかった?」





軽い感じでそういった楢崎くんに






「ふざけんな…!!」





田中が思い切りつかみかかる…!





「た、田中…」



「なんだよ光、なんでお前がそんなに怒んの?
安心しろよ、キス以上はもちろんしてな」



ガッ…!




思わず漏れそうになった声を手でおさえる。




田中が、楢崎くんの顔を思い切り、殴った。







「アホかお前は…何言ってんだよ!

何傷つけてんだよ!

ちゃんと好きなら、彼女なら、花凛だけは傷つけんなよ…!!」