「…あ、」



昼休み。



トイレから教室に戻る途中、前から田中が歩いてきた。




ぶつかった視線はすぐに逸らして、スイ〜とすれ違おうとする田中…



「ちょっと」



の腕を、ガシッとつかむ。





「なんか怒ってるの?」



「…は?怒る?」





眉をひそめて、怪訝そうな顔をする田中。





「別に怒ってねーよ」



「じゃぁ何で不機嫌なの?」



「不機嫌…?」





田中はますます眉間の皺を濃くすると





「…知んね」





パッとあたしの腕を軽く振り払って、その手をポケットに突っ込んだ。





「知んねって、何か言いたいことあるなら言ってよ!」




「…別に何もねーよ」




「嘘」




「だから嘘じゃねーよ、ただ、なんか…イラッとする」





イラッ!?





「…カルシウム不足?」



「アホか。俺の栄養バランスは毎日完璧だわ」




「じゃぁ何!?」




田中の毎日の料理を思い浮かべながら聞くと





「…お前と…」





田中が何か言いかけて、固まった。