「……よ」
自分の席に座っている田中が、頬杖をついてあたしを見る。
教室にはもう田中以外の姿はない。
「…な、何してるの?」
「……待ってた」
待ってた!?
…って、バカかあたしは。
一瞬、期待してしまった自分が心底嫌になる。
あたしなわけないじゃん。
花凛ちゃんのこと待ってる…ってことだよね。花凛ちゃんも今日、掃除当番だったみたいだし。
「そっか。花凛ちゃんならさっき…」
「はぁ?花凛じゃねーよ」
「え?」
そうなの?
キョトン、と見返すあたしに、田中がため息をついて
あたしの前に立った。
「周防待ってた」
…ええ!?



