「…しょ~がないな~~」
突然瀬名晴人がため息とともに、壁に預けていた体を起こした。
「俺サ~、可愛い子のそーゆー顔に弱いんだよネ」
「え?」
「だから~、俺が教えてあげるよ。ほんとのこと」
「…はぁ?」
ほんとのこと?
意味が分からないあたしに、瀬名晴人はフッと目を細めて。
「俺に任せて」
それだけ言うと、あたしに背を向けて廊下を歩いていってしまった。
「えっちょっと…教えてくれるんじゃないの!?ほんとのこと」
って、それが何なのかは全然分からないんだけど。
「そのうち分かるヨ~」
だけどヒラヒラ右手を振った瀬名晴人の背中は、どんどん遠ざかっていくばかり。
「…えぇ?」
一体どういうこと?