「…あの…、先輩、ありがとうござ…」
でも、岩槻くんはそんな莉恩ちゃんの声なんてまるで無視して
店内の拍手にも何も反応することなく、厨房に戻って行ってしまった。
…グ、と莉恩ちゃんがその後姿を見ながら、唇を噛みしめる。
…岩槻くん。
ほんとは、莉恩ちゃんのこと…どう思ってるの?
何も思ってない子に、“俺の”なんて
言わないでしょ?
「…バカだな、あいつ」
田中が岩槻くんの入っていった厨房を見ながら、そんなことを言う。
…バカだよ岩槻くん。
すごい無理してるの…バレバレなんだもん。
何を隠してるの?



