えっ…
「せん…ぱい…?」
大きな瞳を更に大きくさせて、莉恩ちゃんが岩槻くんを見上げる。
岩槻くん……!!
「はぁ〜?
だったら始めからそう言えよ〜彼氏いるってさ〜、ダルッ。行こうぜ」
「お〜」
チャラ男は面倒くさそうにため息をつくと、サッサとお店を出て行ってしまった。
シーンと静まり返っている店内に…
「いいぞ〜イケメン!
よくやった〜!!!」
響いたのは、一人で来ていたサラリーマンのおじさんの声。
それを皮切りに、店内は岩槻くんへの拍手で溢れかえる。
「さすが岩槻だな…!」
田中もちゃっかり大真面目な顔で拍手してるし。
…田中は、わかってたってことか。
岩槻くんが、莉恩ちゃんを助けてくれるって。



