振り向くと
「ちょっと抜け出すくらいいいでしょー?今暇そうだし〜」
「だ、だめです困ります…!」
大学生っぽい2人組が、レジの前で莉恩ちゃんに絡んでいた。
ていうかあの二人、明らか酔っ払ってるし…!
「や、やばいよ田中!」
「だな…」
「だな、じゃないでしょ!?
助けないと!」
のんびりした田中にイライラが募る。
「っていうか昼間から飲んでたのかよ、いいなぁ大学生は」
そんな感想はいいから!!
「あたし行ってくる!!」
異様に呑気な田中を放置し、あたしは勢いよく席を立った。
莉恩ちゃん涙目だし、このままじゃ本当に連れ出されちゃいそう…!
でも
「っちょっと!?」
「大丈夫だから」
急につかまれた右手に、それを阻まれる。
確信めいた口調の田中は、妙に落ち着いていて。
「大丈夫って言ったって…」
そんな無責任な…!
「うちの大切な従業員に、手出さないでもらえます?」



