「え?どうしたの急に。
俺なにも迷惑なんてかけられてないけど?」
戸惑ったように笑う岩槻くんに、「でも!」と莉恩ちゃんが勢いよく下げていた頭を上げる。
「あたし、何一つ満足に仕事できなくて、いつも先輩にフォローばっかりさせてしまって…」
「そんなの、仲間のミスをフォローするなんて当然のことだろ?」
「でも、あたしのせいで、余計な仕事ばっかり…」
「あのさ」
ポンッと涙目の莉恩ちゃんの頭に手を置く、岩槻くん。
「仲間のミスをフォローすることのどこが、余計な仕事?
それに、俺も店長も、みんな…沖野さんがすごく頑張ってるの、知ってるから。
だから…焦らないでいいよ」
「岩槻先輩…」
「岩槻くん…」
「…おい、なんで周防が泣きそうなんだよ」
ハンカチで目をおさえるあたしに、すかさず突っ込みをいれてくる田中。
だって…いい話だ〜!!!!
「よし、帰ろう田中!」
「え?俺岩槻に聞きたいことが」
「そんなの後でラインでもすればいいでしょ!?いいから早く!」
「はぁ?おいっ…」
KYな田中を引っ張って、二人に背を向ける。
だって…莉恩ちゃんを見る岩槻くんの瞳は、すごく優しくて。
「…あたし、あの二人うまくいきそうな気がする」
「…へー。なんで?」
「女の勘!」



