「よろしくお願いします…!!」
あたしが差し出した右手を両手で握り、深々とした礼をしてくれる莉恩ちゃん。
「だから莉恩ちゃん、頭下げすぎ…。
えっと、もうバイトは終わったんだよね?帰らないの?」
握手を終えてそう尋ねると、莉恩ちゃんがギクッと肩を震わせた。
そして気まずそうに視線を地面に彷徨わせながら言う。
「あ…あの、岩槻先輩待ってて」
「岩槻くん?」
「はい…!今日、すごくすごく、ご迷惑をおかけしてしまったので…まぁ、今日だけじゃ、ないんですけど……あたし、本当に仕事、できなくて」
自分で言った言葉に、自分で落ち込んでしまっている莉恩ちゃん。
どよーん、と一気にオーラが暗くなったのが分かる。



