「昔から光は、まんべんなく周りに気を遣うやつだったけど」
そこで言葉を区切って、少しだけ考えるように、視線を宙に彷徨わせる旭さん。
「なんていうか、まどかちゃんに対しては…かなり過保護なんだよね」
「過保護…?」
やっぱり、よく意味がわからない。
あたし頭悪いのかな…?
「アイツも、特別に思ってるってことだよ。まどかちゃんのこと」
よく話が理解できていないあたしに気付いたらしい。
旭さんはおかしそうにそう言って、あたしの髪の毛をグシャグシャにした。
「ちょっ、旭さ…」
「ハハッ、若いなーっ、高校生!!」
「旭さんだって若いじゃないですか…
ちゃんと、ミキさんと仲直りしてくださいね」
う、と途端に顔を引きつらせる旭さん。
「まどかちゃんまで…わかってるよ。どーにかする」
「…ちゃんと言ってあげてくださいね。好きなのは、ミキさんだけだってこと」
今回の浮気騒動について、そこまで詳しく聞いたわけじゃないけど。
でも何となく分かる。
旭さんも…たぶん、田中と同じで、優しいから。
だからたぶん、ミキさんは不安になっちゃうんじゃないかな。
旭さんは田中と違ってイケメンだしね。(失礼)



