…どのくらい走っただろう。
気付いたら、照明の数も、人の数も段々少なくなっていて。
「はぁっ…」
ようやく足を止めた田中が、パッとあたしの手をはなす。
そして近くの生垣に座りこんだ。
「…な、なんで逃げたの…?」
「…なんとなく」
肩で息をしたまま、素っ気なく答える田中。
「…ここどこ?」
「さぁ?」
「さぁって」
そのまま何も言わないから、
…あたしもマネして、田中の隣に腰をおろした。
するとハァッと大げさに息を吐き出した田中が、
じっとりとした視線であたしを睨む。
「おまえ、何勝手に店の外行ってんだよ」
「……ごめん」
…まさか花凛ちゃんと仲良く話してるの見て嫉妬しました…なんて言えないし。
下を向いたままモゴモゴとそう謝ると、再びハァ…とため息をつかれた。
「そんでナンパされてるし」
「…ごめん」
…そういえば前もあったな、こんなこと。
ゲーセンで知らない人に声かけられて、困ってたら田中が腕を引っ張って、お店の外に連れ出してくれた。