田中のくせに!!






あたしは手に持っていたお土産をすべてその場に置いて、そっとお店を出た。




このくらいのことで、情けないくらい妬いてる自分が嫌だ。




少し、ほんの少しだけ、




お店の外で頭を冷やして





そしたらお店に戻ろう。





田中はたぶん、まだ花凛ちゃんと話してて、あたしが外に出たことなんて気付かないから。






だから、少しだけ–––







「…一人?」





お店の外でボーッとしていたら、突然目の前に知らない男子の顔が現れて



思わずズサッと一歩さがった。




「おー、いい反応。てか、カワイー」




そんなあたしを見て、ニヤニヤしてる男子3人組。




「な、なん…ですか?」





制服だから高校生っていうのは分かるけど、全然知らない制服だし。





「ねー、一人なら俺たちとどっか行かない?


今自由行動なんでしょ?」




「そ、そうですけど、む、無理ですっ!


第一、一人じゃないし!」




「そんな固いこと言わずさー、せっかくの修旅じゃん?思い出つくろうぜ☆」




いや、☆つきで言われましても…



何でこんな知らない人たちと思い出作らなきゃいけないの。




「いいです、サヨーナラ」



「あ、待てって!」




お店に戻ろうとしたら、ガシッと腕をつかまれた。





「ちょっと離してっ…!」



「大声出すなよ。こっち来いって」





そしてつかまれた腕を強い力で引っ張られる。




なにコレ誘拐!?拉致!?




「やめてって…!」



必死に手を振り払おうとした、その時。




スッと横から伸びてきた腕が、あたしを引っ張る男子の腕をつかんだ。




そして無理やり、あたしから引き剥がす。





「っ、田中…!」




「…こいつに触んな」





あたしを背中で庇うようにして、田中が前に立つ。




…ここから表情は見えないけど、その声はすごく、低い。







田中……花凛ちゃんは?




あたしがいないのに、気付いてくれたの?