「まだ決まんねーの?
何時間選ぶつもりだよ」
「ごめんって。だって種類いっぱいありすぎて…!」
あたしは悩んでいた。
塩ちんすこうと、ノーマルのちんすこう、どっちがいいか…!
「どっちも買えば?」
「そんなにお金持ってきてないんだもん。
そういう田中はもう決めたの?」
「俺?これ」
そう言って田中が見せてきたのは。
「ゴーヤ!?」
の、キーホルダーだった。
偽物とは思えないほどすごくリアル…。
修学旅行初日の夕飯で食べた、あの苦さを思い出す。
あれ以来、ゴーヤはあたしの天敵なんだ。
「…なんでゴーヤ?」
「なんか可愛いじゃん」
「かわいい!?」
田中のセンスがよくわからない…。
「まだ決まんなそうだから、トイレ行ってくる」
「了解…ってちょっと?」
「持ってて、それ」
強引にゴーヤのキーホルダーを押し付けられて、渋々手の中のそれを眺めた。
うっ…見れば見るほど本物そっくり…。



