お土産屋さんで、ちんすこうの試食を堪能したり。
御菓子御殿で、製造中の紅いもタルトを見て騒いだり。
時間はあっという間に過ぎていく。
「そういえば、俺らお土産全然買ってないな」
「たしかに…!」
つい楽しむことだけに夢中になっていた。
「中学の友達に買ってかなきゃ!
あと親にも」
「食べ物はやめとけよ。
いつ帰ってくるか分かんねーから」
「だね…」
3日前に、フランスにいまーす♡と書かれたメールが来たことを思い出す。
…一体いつ帰ってくる気なんだろうか。
…でも、お父さんとお母さんが、日本に帰ってきた時。
それはすなわち、田中との同居生活が終わり、っていうことを表してるわけで。
「早く帰ってくるといいなー」
近くにあったキーホルダーを触りながら、何の気なしに言う田中。
「…う、うん」
「じゃ、さっさと買おうぜー」
ぎこちなく頷いたあたしには、田中はきっと気付いてない。
…はじめて、この奇妙な同居生活の終わりを、意識した。



