「あ、あの…えっと…別に、嫌なわけじゃないんだけど、嫌じゃないわけでもなくて、あ、あれ?で、でも!でも嫌では決してないんだけど、むしろ回りたいんだけど、そ、それはせっかくの修学旅行なわけだし、国際通りも行かなきゃだし、えっとだから」
あぁあ自分で自分が何言ってるのか分からなくなってきた!!
思わず自分の頭に手を置いて、グシャグシャと髪を触ると
「…おまえバカだな」
フッとその手がつかまれた。
顔をあげると、呆れたようにあたしを見下ろしてる田中。
でも、その口の端がちょっと、あがってる。
「時間もったいねーし。
早く行こうぜ」
そしてアッサリとあたしの手をはなすと、
「髪ボサボサ」
それだけ言って、さっさと出口の方に歩いて行ってしまった。
「った、田中は?」
髪の毛を直しながら、慌てて田中を追いかけるあたし。
「田中は…嫌じゃないの?」
「はぁ?何が」
「だ、だから…あたしと二人でまわるの」
語尾にいくにつれて段々、小さくなっていく声。
だってこれで「嫌だ」とか言われたら…立ち直れないし。
「おまえ…」
田中がチラッとあたしを見て、はぁ、とため息をついた。
「な、なに!?」
「…嫌だったら」
田中の手があたしの頭にのびてきて。
「ちょっと!?」
せっかく直したばかりの髪の毛を、グシャグシャにした。
「即効帰ってるから。安心しろ」