「紅茶よりココア派なんだろ、おまえ」




素っ気なくそう言って、紅茶を飲む田中。






…覚えてたんだ。






“…あたし紅茶よりもココアが好きなんだけど“





「…あ、ありがとう。いただきます」



「…ん」





二人の間に流れる気まずい沈黙…




テレビから漏れてくる笑い声が、妙に場違い。





…あ、謝らないと…




「あのさ、き…「昨日ごめんな」




「…え」




意を決して口を開いたけど、あろうことか田中に先を越されてしまった。





「岩槻あんな落ち込んでるし、周防も…こないだ、あんな事があったばっかなのに。


軽率だった。ごめんな」





あんな事っていうのは、三浦さんのこと…だよね。





「い、いや…あたしこそ、ごめん」






…でも別に、あたしが怒ったのは、三浦さんのことがトラウマ…とか、全く全然、そういうことじゃなくて。






「…何であたしが怒ったか、わかる?」