もしかしたら、あたしにも初めての彼氏ができるかも!?
なんてちょっと、期待してたけど




「やっぱダメだよねー…そう簡単に彼氏とか…




あたし全然女の子っぽくないし、かわいくないし…」




「そんなことねーよ」




…え?





田中の言葉に、思わず顔をあげる。




田中は、あたしの隣にソファを背もたれにして座り、チラリと横目で見ると





「…結構…かわいいよ、おまえ」




ニッと、悪戯っぽく笑った。





「だからあんな男のことは、今すぐ忘れろ?」





……田中





「……もう忘れた」




「よしっ」




田中が満足そうに立ち上がる。





「今日外食しよーぜ、外食」



「は?外食?珍しい…」





家ご飯派なのに、田中。





「たまにはいいだろ?

俺だってたまには休みが欲しいんだよ」




「ふーん…」




「ほら、とっとと立て」





スッとあたしの目の前に差し出される、右手。





「…ん」





握った田中の手は



ヒンヤリ、冷たい。





「じゃー周防の奢りということで」



「なんでよ!?」





すぐにはなれた右手を、ポケットに閉まって




田中が歩き出す。







その背中にもう一度…




呟いた。







ありがとね、








田中