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「済まない、

悪いが…もう時間だ」


貴方様に抱かれる手を放したくないのです。


けれど、

放さなくてはならない定めを受け入れないと、


「…はい…っ」


貴方様のみを案じることが

出来なくなってしまうからでした。


「これを…、お前に」


宗十郎様が女性ものの簪を私の髪に挿して、


「綺麗だ…」


梅の花が描かれているのであって、

美しげな飾り物でした。