門にはいろんな服装の人がいた。

執事の服。学ラン。幅広くある。


「あっらぁー?華さーん。それー誰のかなぁ?」

執事の服を着た美瘡がニタニタと笑いながら近づいてくる。


「だって、これきるしかないんだもん!しょうがないでしょ!」


「はい。もーすぐ入場しまーす!」


先生の言葉と共に音が鳴り出した。


トラックを歩きまわるなにが楽しいのかわからない。


人気のある女の子。彼氏がいる女の子は楽しそうだが。


彼氏もいない。人気もないやつからしてみりゃー


単なる恥ずかしいだけだ。


ここの男子の制服を着てる人なんてほぼ彼氏のなのに


私だけ彼氏でも何でもない牧瀬の制服。 


わけわかんないしっ!


美瘡は可愛いし人気がある


だから


「美瘡ちゃーん!」


こういう声が上がる。


「あんた、うらやましいねぇなーにが美瘡ちゃーんだよっ」

ぶりぶり文句を垂れる私を横目に


「いや、あんたもねー人気あんだよ意外と」

「意外とってなによ。失礼!」


初耳なんですけど…


「先輩とかから人気あるらしいよ?可愛いって」


先輩ねぇー、まぁ、ありかな?


「でも、愛しの牧瀬君もガン見ですけどね。」


誰が愛しの牧瀬君だ!


確かにさっきから目線感じますけどね?



怖いんですけどね?



「まじで、怖い。」


なんかやたらと顔ががん飛ばしてません?

喧嘩売ってるんでしょーか。目つき悪くない?


それから、無事体育祭は終わった。


自分の体操服に着替えて帰ろうとしてた時


「おい。」

振り向けばやはり牧瀬。


「な、何?」


「あ、制服の事なら「ちげぇよ。いや。まぁ、帰んぞ。」


そう言うと強引に私の手を引きスタスタと歩き始める



「ぇ、ちょ、」


「お前、馬鹿じゃねぇの今何時だと思ってんだよ。」


突然止まったかと思えばそんなこと言い出すし。


「ぇ?8時ぐらい?」


普通に答えたら。


バチッ

牧瀬にデコピンを食らった。


「いったっ」


デコを抑えながら言う私に



「こんな時間にしかも、くれーのに女一人で帰る奴がどこにいっかよっ!」


あ、そうだ。

後夜祭でみんなで盛り上がりすぎすっかりこんな時間になってしまった。


「ぁ、…」


はぁ…と溜息をつきまた私の手を引き歩き出す。


なんか、手熱くない?


「家、知ってる…の?」


「知らね。たぶんこっちらへんだろ?」


うん。こっち方面だけどね。


なぜ、そんな適当?



それから、手も離し少し距離をおき


歩いた。


「あ、家ここ…」

わざわざ、玄関まで送ってくれた。



「あ、わざわざありが…」


「と」を言う前に牧瀬が私に寄りかかってきた。


「ぇぇぇーー!」


あまりのびっくりに声を上げてしまう。



「うっ、…ん、はぁ…」


倒れこんできた牧瀬から息苦しそうな声が聞こえる。


「ちょ、大丈夫?」

顔を覗きこむと玄関にともされた少しのライトでもわかる


顔が赤くなっている。


おでこに触れてみるとものすごく熱い。



「総悟ーー!」


私の体よりもだいぶ大きい牧瀬を支えている私。


携帯を取り出したり身動きが取れないため


家にいる弟の総悟(ソウゴ)を呼ぶことにした。

すると中から足音がして

ガチャッ


「っんだよーなんか…って何してんの?!」

目を見開いて驚いている総悟。
 
そりゃそうよね。


「こいつ。熱あんのよ。で、私の部屋に運んでくれない?」


「あーはいはい。わかった。」


私に近寄ってきて牧瀬の腕を自分の肩に回して軽々と支えて

家の中へと連れて行った。


「ふぅーーー」

いそいで、私も家の中に入り   

氷水とタオル必要なものを持って上がった。


「ありがとね。」

「おー。」


それだけ言うと自分の部屋に戻っていく総悟。


私のベットに横たわり顔を歪めている


そーときついんだろーな。無理してたんだろうな。



「牧瀬ー?」

声をかけてもうなってるだけだし。


とりあえず、タオルで汗を吹いたりしてみた。


色んなコトしてるうちに私も眠りについてしまった。