「行かないで…」 一瞬、琇聖は目を見開いた。 そうだよね。 あたしがこうやって言うことは今までなかったから。 親がいなくなった時だって。 みんなには弱い自分を見せなかった。 「香…」 あたしの手をぎゅっと握る。 「俺はどこにも行かねぇよ。 ずっと香のそばにいるから。 だから、ちょっとだけ待ってて」 「うん…」 琇聖…あたしはそういう言葉をずっと求めてたのかもしれないね。