「いやっ、離して!」


神社の前を通ったとき、突然腕を掴まれた。


「大人しくしろ。そしたら何もしないから。」


何もしないなんて絶対にうそ。


「いいから、離して!」


暗い道に、引きずりこまれそうになって必死に抵抗しながら叫ぶ。



「誰か! たすけて!」



でも、薄暗い道には誰もいなくて、わたしの声は、だだっ広い田んぼに虚しく響いた。