「オオカミ?」
オオカミかはともかく、普通の犬ではない。
男の言うことなんてこれっぽっちも信じていなかったが、思わず呟いてしまった。
「だから、そうだって言ってるでしょう!早く助けてあげてください。」
見るとオオカミは、前足からかなりの出血をしていた。
急いで男に指示を出す。
「まず眠らせてから、処置室に運ぶ。俺は麻酔をとってくるから、お前絶対に近づくなよ!傷を負った野生の動物は何するかわからないからな!」
「麻酔なんかかけなくても大丈夫ですよ。ほら、車から降りれる?」
動物に話しかける男。
しかも、目を合わせて顔を近づける。
「ばか!離れろ!」
そして俺は、信じられない光景を目にする。