その時、凛とした声が響いた。


「赤ちゃんに話しや理屈は通じません。あの子と母親だけでも、解放してあげられませんか?そんなにたくさん人質は必要ないでしょう。」


あの近所の奥さんだった。


撃たれるかもしれないっていうのに、堂々と強盗に意見する。


俺は驚いた。

しっかり者の奥さんだとは思ってたけど、こんな風に強盗に意見するようには見えなかったから。


でも、近くにいた俺にはわかってしまった。奥さんの手が震えている事に。


かっこいいじゃねーか。


ただ自分の事しか考えてなかった自分が恥ずかしくなった。