バカと利口は紙一重~実話込み~

 残り時間三十分……

 というか、テスト始まってから二十分。

 みんな数学の問題必死に解いてる最中に、私はもうお手上げムード。

 頭から湯気が出そうな感じでギブアップしかけていた。

 答え見えねぇかなぁ?

 私の前に座ってるのは学年一の秀才、木村優。

 二年になってからあった定期テスト二回とも、数学はすべて百点!

 という偉業を成し遂げた男だ。

 テストの質問を受け付けるために回って来た数学の渡部先生曰く、 


 「簡単に百点をとられるようなテストは良いテストではありません。今回はちょっと難しくしました」


 おいおいおいお~いっ!!

 木村優のせいで私の未来は真っ黒~っ!!

 ホントに真っ暗。

 テスト問題半分も解けてない。

 こうなったのは全部、木村くんの責任だ。

 答え見せて!!

 私は大きく息を吐きながら頭を上……げ……

 何か、出てる顔の横から。

 木村くんの顔の右端。

 ふわ~んとしてる、何か白い物体……



 あっあれは何!!

 まっまさか魂ぃっ!

 ヤバーッ!! ヤバくない!!! ヤバイよ!!

 ちょっとねぇ、木村優っ!! 平気っ?



 テストのことなんか忘れて焦る私。

 どうすんだよ!!

 倒れたりす……



 バタンッ



 「えぇッ!」


 木村くんが前方に!!

 魂が、抜けた……?

 愕然とする、私。



 死んだの? 死んじゃったの木村くんっ!!