バカと利口は紙一重~実話込み~

 オレは廣子に一緒に帰ろうって声をかけた。


 「反対方向じゃない?」

 「ちょっと話しがあるんだ」


 話しがあるって言ったけど、人がいっぱいいるトコじゃできねぇ話しだ、コレは。

 なんてったってミスターハイスクールの威信に関わることだからな。

 普通こういうのって言っちゃダメだと思うけど、廣子のことを考えると……

 オレは廣子を家に招いた。


 「狭くて汚ねぇけど、座って」


 座布団出して飲み物用意すると、オレは早速切り出した。


 「優ってどう?」

 「どうって……」

 「どう思うかってこと」

 「う~ん……いい人、かなぁ?」


 困ったような顔をして廣子は答える。

 顔は赤くなってないし、反応はいい感じだ。

 もうちょっと掘り下げてみよう。


 「確かにな~。あいつ完璧だし格好いいよな」

 「千亜希ちゃん、木村くんのこと好きなの?」

 「えぇっ!!」


 ビックリして廣子を見たら、廣子はなんかちょっと……



 え~とこれは何つう顔?



 普通さぁ、こういうときって、興味津々て感じの好奇の目向けたり、楽しそうに笑ってたりするよな?

 けど……廣子は…………

 目、逸らさねぇし。

 顔、マジだし……

 ヤベェ?


 「んなわけね~じゃん。オレあぁいうの苦手」

 「そうなんだ」


 廣子はニッコリ笑う。

 何だその笑いぃっ。

 分かんねーっ。

 もしかしてもう手遅れなのか~ぁ?

 いや、だけどそんなはずはない。

 だって、まだ廣子は知らないんだ、優の秘密を―――



 あれは中学二年生のとき、二学期の中間テストだった。

 あんときゃまだ、オレは結構オトメだったなぁ……