バカと利口は紙一重~実話込み~

 相手は学校一かもしんない秀才だ。

 もしかしたら、オレは導火線に油じゃなくてガソリンを染みこませちまったのかもしんねぇ。

 昼飯はコンビニで買って持って来ていた。

 いや、その辺は予想の範囲内。


 「結城さん、いつもお弁当なの?」

 「うん」

 「美味しそうだね」

 「ありがとう」


 廣子は嬉しそうに微笑んだ。


 「いいなぁ。俺も弁当持って来たい」


 コンビニのおにぎりのビニールをクルクル取るその姿。

 おにぎり見てるんだから当たり前だけど、視線は下、つまり伏し目がち。


 「自分でつくればい~じゃん」


 オレが軽く言ってやると、優は慣れた手つきでノリをおにぎりに貼りながら口を開く。


 「お弁当ってさぁ、開くまでが楽しみなんだよ。ねぇ、結城さん?」


 おにぎりをつくり途中の手を止めて、優は廣子に微笑んだ。


 「うん」

 「自分のためにだけつくるの、ちょっと寂しいからね」


 おにぎりづくり再開。

 クソ~ッ! 敵は手強い!!


 「ん、結構うまくできた」


 オレには意図的に思える台詞をさり気なく呟く優の手の中で、おにぎりが完成。

 ノリが破れることもなく、綺麗にくっついて正三角形になっている。



 要は、

 こういうの手慣れてます=コンビニでよくご飯買うよ=僕ちゃん孤独なの!



 っていうアピール。

 優のやつ、コンビニおにぎりを完成させるタイミングまで計算してやがる。

 お前の頭ん中ど~なってんだよ!!

 カチ割って見てみてぇ。 

 この流れで廣子はもう優を意識せざるにはいられない。

 お母さんにお弁当もつくって貰えなくて、コンビニでご飯買うことが多いです、

 寂しいよ~ってサイン、がっちり受信しちまったから。

 加えて優のこの容姿。



 オレ勝ち目ね~~~~~~っ。



 こうなったら優の趣味を喋っちまうか!!

 喋るのはヤツの手がどうしても届かないときだ。

 絶対邪魔される。

 よし、じゃあ放課後だ。