バカと利口は紙一重~実話込み~

 「ゲッ!!」


 角を曲がりかけたそのとき、目の前に小集団を発見!!

 どっからどう見ても、あいつらだ。


 「廣子、工事中だ。別の道行こう」

 「え? 工事?」

 「そう、工事中」


 早乙女になんか捕まったら、あとでエライことになりそうだ。

 鉢合わせは絶対避けないと!!


 「優ん家、ココだよ」


 遠回りして辿り着いた豪邸に、廣子は息を飲む。


 「おっきい……」


 百七十のオレよりまだ高ぇ鉄の門。

 上部には飾りがあって、門の端にはインターフォン。

 庭はそんなに広くないけど、三階建てのでっかい家だ。

 インターフォンのボタンを押したらウェットな女性の声。

 オレはその人に挨拶をした。


 「成瀬さん、こんばんは」

 「こんばんは」

 「優の見舞いに来たんですが、河本です」

 「久しぶりね。今開けるから、ちょっとお待って」


 成瀬さんがメイドさんの格好してたらアチャ~って感じだけど、

 逆に普通の格好(しかもスラックス)だから優の妄想力は育成されたのかもしんない。

 幼稚園生二児の母とは到底思えない美貌を持った大人の女性、成瀬さんはオレらを優の部屋に案内してくれた。


 「よぉ!」

 「千亜希……」


 苦しそうな優の顔。

 だけどそれも一瞬だった。


 「ゆっ結城さんっ!?」


 ギョッとなった優が若干上半身を起こす。


 「まぁまぁ、落ち着けよ優」