バカと利口は紙一重~実話込み~

 「廣子がつくったの?」

 「…………うん」


 お~!! すんばらし~っ!!

 もはや泣き出しそう、とまではいかないがテンションガタ落ちの廣子。


 「なら食うよ。十でも二十でも、あいつは食う」


 だが廣子は寂しそうに笑っただけだった。

 う~む、どうしたもんか……

 あとは優自身に任せるしかねぇ。


 「フルーツとかなら平気かな?」


 道を歩きながら、廣子がポツッと呟いた。


 「マフィンだけで充分だって」

 「……」


 くぁ~っ、マジでやっちまったかも。


 「あのな~、アイツは廣子が来てくれるってだけで復活するぞ?」

 「……」

 「廣子の笑顔はスゲーパワーになるんだ」


 オレはドコぞの漫画キャラだ!?


 「見舞いに行ってやろうって思ってくれたことが嬉しいし、

 時間裂いて自分のために何かつくってくれたなんて、号泣もんだよ??」


 これだけ言っても心に響かないのか、廣子は何も言わなかった。


 「廣子はどう思ってっか知らないけど、アイツ廣子にマジだから!」


 これで平気だろ?

 オレは隣りを歩く廣子を見……


 あれ~~~~~~~~~っ!!
 

 キョロキョロ見回すオレ、の目に映るのは好奇の目でオレを見る歩行者たち。