何でだっ!!

 突然後ろから変な音。

 オレ何もしてねぇっ!!

 無意識、無思考、無我夢中。

 オレは廊下を全力疾走。

 転がるように階段を駆け下り……


 「うわっ!!」


 階段で足がもつれて身体が前につんのめるっ!

 転がるっ! マジで階段を転がるっ!



 ヤベェオレ死ぬ~~~~~~~~っ!!



 ガクンッ!!



 右手を急に後ろに引っ張られた。



 ドンッ



 背中に何かがぶつかって


 「おわっ!」

 「……」


 声にならないオレの叫びと誰かの声が重なった。



 ドスッ



 オレは何かクッションがいいもんの上に座っちまった。


 「…っ……ぅ」

 「わっ!」


 背中に妙な熱を感じて飛び退くと、そこで誰かが伸びていた。


 「イテ~。苦しぃ……」

 「すっ優!?」


 お前帰ったんじゃなかったのか?

 階段に手を着いて腰をさすりながら上体を起こす優の顔は苦痛に歪み、大人びたいつもの余裕なんか微塵もない。

 大丈夫か? なんて訊く前に、オレの口は動いてた。


 「痛いトコない?」

 「足、腰、腹、頭……」


 じゅっ重傷……


 「ゴメンな」


 どうしたらいいのか分からなくて、優の顔さえ見てらんないオレはうつむいて謝った。