だけど、中学生のとき、お前人前でモグモグやってただろ?
オレは覚えてる。
中学二年の期末テストのとき、オレの前の席で。
だけど、誰一人として、オレの証言笑い飛ばすんだ。
あのエピソードはなかったみてぇに。
まるで狐につままれたような感じ。
オレが見たことは真実なのに、誰一人として信じてくんねぇんだ。
先生だって怒ってたし、あいつ一番前の席だったから、ちょっと顔上げたヤツとか、見てたはずだろ?
なのに、目撃者ゼロ。
あのとき試験監督してた先生はちょっと話しにくい感じの先生だったから、確認することもできなかった。
少女漫画から抜け出たみてぇな完璧すぎる美少年には、神様もヒトメボレ?
それ以降、オレに対する世間の風当たりは冷たくて……
それから先は、思い出したくねぇな。
「結城さん、何て言ってた?」
何て言ってたっけ?
確か、貧乏なヤツとかは紙食うって言ってたな。
そうそう、ローションティッシュを……
「オレのコト、キモイとか言わなかった?」
「言ってない」
笑ってたけど。
「じゃあ何て言った?」
廣子が優に対してコメントしたこと。
それは……
「…………ヤギ?」
「え?」
「だから、ヤギ」
「俺が?」
「そう」
「えぇっ!!」
これ以上にないほど優はビックリして、仰け反った。
オレはその驚きにビックリだよ!!
「紙食うっつや、普通ヤギじゃん」
廣子のコメントは当然のことだろ?
「ヤギ……この、俺が……ヤギ……山の、羊……ヤギ……ヤギ……」
トラウマと化したか。
