チャラリ~♪


 ドキッとして机の上の携帯を見た。

 発光しながらブルブル震えるそいつは優が早く出ろって催促してるみてぇだった。

 出る気しねぇなぁ……とか思いつつも、オレは電話を取った。

 「もしもし?」

 「機嫌悪い?」


 聞こえてきたのは爽やかな笑顔で言ってんだろうと用意に想像させる口調。


 「そうでもない」

 「今日、結城さんと帰ったんだって?」

 「早っ! お前の情報市場はどこにあんだよ?」

 「みんな俺の味方だよ」


 嫌味が嫌味っぽくに聞こえないこの爽やかさ。

 こいつを好青年と言わずして、誰をそう言うんだろう。

 このまんまじゃ四面楚歌になるのはオレだ。


 「オレも応援してやるよ」

 「え!?」

 「嫌ならいいけど」

 「嫌じゃない!! 頼む、協力して」


 と言った優は相当暇らしく、八時になろうとしてるのに、ヤツはのこのこやって来た。

 うちの母さんもウッカリ優の笑顔にダマされて、


 「あら優くん、久しぶりね。ジャージってことは部活の帰り? ゆっくりしてってね。

 お夕飯まだ? 良かったら食べてって。残り物だけど」


 とか言っちゃうんだから困ったもんだよ。


 「ありがとうございます」


 とちゃっかり夕飯を食う優。


 「ご馳走様でした」

 「あらもういいの? まだあるわよ」


 と言う母さんに、とびっきりの微笑みで


 「家でも支度してくれてると思うんですよ。少し余裕を残しておかないと」


 この大ほら吹き、テメェ小食だろ!!