バカと利口は紙一重~実話込み~

 勝ち目はない。

 けど、頭がオーバーヒート起こしそうなだからって戦線離脱じゃ木村優の不戦勝。

 そんなこと許されるワケがない。

 私はその後の三十分、最後の一秒までフルパワーで頑張……ろうとした。



 なのに……なのに木村優が…………

 彼の顔の右端。

 また白い物体がふわふわ浮いている。

 何なのあれ!!



 パフパフッ



 木村くんの机で何かが鳴った。

 ちょっと、テスト中にドラムの練習?

 とか思って音源見たら……ポッポケットティッシュ!!


 なに~~~~~~~っ!!


 どういうこと!?


 「あ、割れた」


 割れたぁっ??

 木村くんの手元を見たら、爆発して横からティッシュがびろびろしてるのが見えた。

 ポケットティッシュをポカポカ叩いて、破裂させて遊んでる!?
 
 アホやん! こいつマジアホやん……

 何で学年一位なの?

 何でこいつに私は負けてんの?


 「木村!」

 「はい」


 木村くんの手はスッとポケットティッシュから離れ……

 行ったのはふわふわ浮かぶ白い物体のところ。

 次の瞬間、ふっと白い物体はなくなった。

 白いのを、手で掴んだんだ。

 掴めたってことは、実体があるってこと……

 じゃあ何? 何なのあれは……

 木村くんの真後ろに座る私には、木村くんが何してるのか、しっかりハッキリ見ることができなかった。

 だけど……木村くんの動く肘。

 幼稚園生が「汽車ぽっぽ~」とか言いながら遊ぶ、あの手の動きににてる。


 何してるんだろう?


 テストするのも忘れて観察してた。

 すると、木村くんの机の上、何かが転がった。

 白くて、丸い、軽そうな……

 そう、それは……多分……