「あのね、あたし好きな人できた」



喉から声を絞り出して言う
あたしの目の前には
幼馴染の佐伯陽菜。



「え!?なに!?誰々!?」



可愛いというよりは間違いなく
美人という言葉の似合う彼女は
突然発せられた言葉に
驚きを隠せていない。




「…、はる、や」




何回練習しても、何回呼んできても
やっぱりうまくいえなかったこの言葉。