ぶつぶつ言いながら長嶋晴哉は ペンを走らせていた。 紙には虚しくその跡だけが残る。 [ほら、俺やっても全然つかな… あ!ついたわ!] よっぽど嬉しかったのか ほらほら、と赤い線が書かれた その紙を見せてくる。 [なーんだ、晴哉もついたんだ] 大袈裟につまらない、といった 顔をしてみる。 [ま、俺様は天才だからな] ただ赤ペンがついたというだけで ふんぞり返ってみせる。