-----鈴香side-----

私が俯いていると、

───グイッ。

いきなり、誰かに
腕を引っ張られて抱き締められた。


え!?誰っ!?

私は、すぐ上を向くと……
あいつが……。
裕樹が私を抱きしめていた……。

え……?なんで裕樹が…!?


私は嬉しい気持ちになった。
……気がした。

だけど、それを無視してすぐに

「ゆ、裕樹……!?
は……はなしてよっ……!」

と言った。


言葉ではこう言ってるけど、
本当は……。


─────抱き締められたい。



なんて。思ってる自分がいた。


私………もしかして、
好き…………なの………?
そう思っていると、



裕樹が、

「どーせ、俺に
抱きしめて貰えて嬉しいんだろ?」

と私をからかうように言った。


私は、

「っ!!ちが…違う…….」


と言って、俯いた。
だって……ず、図星だから…。


すると光くんは、

「やだなー☆狙ってたのにっ!
じゃあ、ごゆっくり〜っ♪」


と手をひらひらと振りながら
去って行ってしまった………。


なんでこういう時に光くんはっ!


そう思っていると、
裕樹が抱きしめている力を
緩めていた。


チャンスだっ!!


その隙に私は裕樹から逃げた。



だから、私は

「何よっ!もう、触れないでって
言ってんじゃ………。」

ない!と、そう言おうと思った。


……なのに。



───あれ。
なんか、クラクラす……る……。



───ドサッ。


私は倒れた。


「……香……鈴香っ……!」

何か声が聞こえて来たから、
喋ろうとしたけど、

そこで意識は、
途切れてしまった………。