-----裕樹side-----

「何よ何よ!

新しい家に来たら、
ほっぺたつねられたり
デコピンされて!

しかも、着替えさせといて
ダサいなとか言うなら
キスとか着替えさせないでよ!
その…勘違いしちゃうし……。

っ!だから!裕樹は
私と二度と話さないで!

裕樹のっ、バカァっ!」


そう言われて、鈴香は
俺を突き飛ばして、
俺の部屋から出て行った。


「くそっ……何やってんだ俺……。」

トントントン……。

ダッシュ状態の心拍のリズムを
落ち着かせようと、

俺は、自分の胸に手を当てた。


俺は、鈴香が可愛くて、
キスをしてしまった………。



俺は、親父に決められた
令嬢と結婚しなくちゃいけない。



───だから……他の女に
手を出してはいけなかったのに…。



手を出してしまった………。



だって、鈴香が……

薄い桃色のドレスを着ていて、
髪は、ふんわりとした巻き髪。

そして、唇は淡い赤色の
グロスで色っぽい。

そんな格好の
す、好きなやつを目の前で見たら、


我慢できないだろ?
…っていうか、理性壊滅だ…。


────でも、鈴香は、
大丈夫なのか……?

とりあえず、
鈴香を…追いかけないと…っ!