-----鈴香side-----

「んん………。」

薄っすらと目を開けると、
私は見知らぬ部屋の中のベッドに
横たわっていた。

……確か、私が倒れて……
誰かの声が聞こえてて、
喋ろうと思ったけど、
そこで意識が無くなったんだっけ。

……すると、
執事さんが、お粥を
持って来てくれていた。

「具合は、どうでございますか?」

と聞かれた。私は

「すっかり良くなりました。」

幸い、誰かからの処置で、
熱もすぐ下がった。

あ、もしかして執事さんが
お粥を持って来たり
運んでくれたのかも。

だから、

「執事さん……、運んでくれたり
お粥を作ってくれたりして、
ありがとうございます……。」

私がそう言いながら受け取ると、

「沙奈様、違いますよ。」

────え………?

じゃあ誰が………?

「お粥を作らせたのは、
私ではなく、裕樹様直々に
頼まれました……。
沙奈様をこの部屋に
運んだのも、裕樹様です。」


裕樹………。
どうしてそんなに優しいの……?


……そう思っていると、



───ガチャ。



ドアが開いて、裕樹が出てきた…。

執事さんは、ニコッと微笑み

「裕樹様が女性をそんなに
優しく見ていたのは初めてなの
ですよ…。」

と、私の耳元でボソッと
呟いたあと、裕樹に会釈をして、
部屋から出て行った。