「うっ……うえぇっ…」


吐き気に負けないように口を手で抑え、涙目になりながら耐える。


遠くから救急車のサイレンが聞こえる。


それに合わせるように、解斗の意識は途切れた。






▲ ▽ ▲


ぼんやりと白が見える。


ゆっくり目を開けていくと、白い天井が見えた。


「起きた?解斗君」


鎌が顔を覗き込む。


「鎌君?何でここに?
てかまずここどこ?」


「そんなに一気に質問しないでよ。
ボクは解斗君のお見舞い。ここは病院」


鎌が呆れたようにおどけて言う。


「病院……雷十は………?」


恐る恐る聞いてみても、返ってくるのは絶望。


「雷十君…ね。
………助からなかったよ」


鎌が俯いてぽつりと言った。


解斗の目から雫が落ちる。