「おはようー」


「お!解斗おはよう!」


「あははっ。おはよう!」


解斗が登校した。


まだ、一つの異変には気が付かない様子。


「あー解斗君ー。おはよー」


「おはよう鎌君。何かやる気無さそうだね」


「そりゃそうだよ。だって今日一時間目から剣術でしょ?」


「あはは……確かにやる気無くなるのは分かるよ……」


この学校は他とは違い、『剣術』と呼ばれる教科が存在する。


大体の生徒からの評判は悪い。


「おかげでやる気0だよ。宿題する気にもなれないよ」


「いや、宿題はしないと駄目だからね?」


「はぁーい。今からしよーっと」


鎌が机からノートを取り出し、開いて書き込み始めた。


それを確認してから、解斗は席についた。


「剣術かぁ……鎌君、強いのかな」


自分で呟いておきながらゾッとした。


もしもクラスのみんなを皆殺しにしたら……


あーやめやめ。とりあえず準備しよう。


鞄から教科書等を取り出し、机に入れた。


鞄を棚にしまい、席に戻って本を開いた。


一時間目が始まるまで残り……


あれ?


本を閉じる。


和哉君……来てない?


それどころか、机が無い!?


席から立ち上がり、近くにいたクラスメイトに聞く。


「和哉君は?」


「和哉?誰?それ」


…………え?


「矢野和哉君だよ。覚えてないの?」


「知らないよ。そんな人」


「そんな……」


他にも聞いた。


「矢野和哉?何の事?」


「和哉ぁ?誰よそれぇ。私知らな~い」


「聞いたことないけど……」


返ってくる言葉は絶望的だった。


「雷十!」


「何だ?そんなに必死で」


「和哉君は!?和哉君は何処!?
みんな知らないってばっかりで、誰も教えてくれないん……」
「なぁ、解斗」


「何?」


「その…お前が必死で話してる和哉って奴さ……誰だ?」