魂狩り

平凡な時間はすぐ過ぎるもの。


あっという間に下校時刻だった。


解斗は手早く教科書を鞄にしまい、席から立ち上がる。


「か、解斗君」


「?」


振り返ると、解斗の友達の矢野和哉(やのかずや)がおどおどした様子で立っていた。


「きょ、今日、一緒に帰っても……いいかな…」


「うん。良いよ!」


「ありがとう…!」


和哉は心底嬉しそうな顔で礼を言った。


「それじゃあ、帰ろうか」


「うん」


解斗と和哉が教室から出て行くのを、鎌はつまらなさそうに見ていた。


「やれやれ。どいつもこいつも生ぬるい友情だね」


ハァッと溜め息をついて鞄を持ち、教室から出て行った。