魂狩り

「そうなんだ。よ、よろしくね」


解斗はぎこちなく笑って、「もう読書の時間だよ」と理由をつけて鎌を席に座らせた。


自分も本を取り出す。


静かな読書時間は、解斗の心に落ち着きを与えた。





一時間目前の準備時間。


鎌の席の周りに、人がどっと押し寄せた。


鎌はただ不機嫌な顔で舌打ちし、


「うるさい。死にたいわけ?」


と言った。


その一言は、皆に殺気を感じさせるのには十分過ぎた。


皆静かに席へ戻る。


そんな中、一人の生徒が鎌に近付いた。


「お前さぁ、何なの?さっきから死にたいかだの殺すだのよ。うざいんだけど」


クラスの中では一番喧嘩が強い赤木雄介(あかぎゆうすけ)だ。


「ん?何?キミ。喧嘩売ってるの?」


「喧嘩売ってんのはてめえだよ!」


雄介が鎌に掴みかかる。


「最後に問うよ。死にたいの?」


「てめえのそれがうぜぇんだよ!!」


鎌はフッと真顔になり、ハァッと溜め息をついた。