小さくなっていく背中をただ見つめていた鎌に、強い風が吹いた。


風は辺りに積もった雪をまきあげ、吹雪のようになった。


なびく鎌の髪の合間から、とても冷たい怒りがこもった深紅の瞳が見え隠れしていた。


やがて風は止み、いつの間にか俯いていた鎌の足元の雪は、少しずつ涙で濡れていった。
風が鎌の怒りを全て持っていってしまったように見えた。


「偽りの励ましなんていらない。それが本気でもボクには必要ない。
だからボクに関わらないで。殺したくなる」


誰かに向けた訳でもなくただ虚しく響いたその呟きは、風にさらわれ消えていった。