「とにかく、さっさと帰るぞ」


俺は新矢と終始笑顔で話し、別れた。


久し振りに笑顔を見せた。これまでずっと笑えずにいたのに。


この学校で、俺が少しずつ変わっている。そんな気がした。


◇◆◇

【新矢視点】


自宅へ到着した。


玄関のドアを開けると、楔が笑顔で仁王立ちしていた。


「こんな遅くまで、何処に行ってたのかな？」


顔こそニコニコしているが、言葉からは殺気やら禍々しさやらが漂っている。


「悪ィ……月光と話してたら遅くなってよ……」


たじろぎながら弁解を試みる。


「ふぅん…月光と話してたなら許す」


意外にもあっさり許してくれた。


何はともあれ命拾いした。


「じゃ、ご飯できてるから食べちゃってよ」


「あァそうする」


俺は靴を脱ぎ制服から着替えて、リビングへと向かった。